日保協青年部セミナー詳細

熊本県保育協会青年部HPより

第12回 日保協青年部セミナー
テーマ 保育所・行政・政治の三位一体 Ⅱ
=国の宝を守るのは誰?=

第1日目 2006年2月7日(火)自由民主会館701号室  

 日保協青年部日吉部長(石川県)より、国が三位一体改革を進めるように、自分たちも改革が必要。国の宝を守るのは誰?本当に宝として大人は子どもに関わっているのか。子どもを巡る状況はだんだん悪くなっている。こういう社会をどうやって変えていくのか、この2日間で考えてほしい。との挨拶でスタート。

演題1 「青年部に期待すること」・・・講師 日本保育推進連盟 専務理事 上村芳夫 氏による日保協、日本保育推進連盟についてのレクチャー ・・・資料参照(*)
日保協だけが、自由民主党の友好団体であることを力説された。また、これからも、若い力で保育界をリードしていってほしいと、期待を込めて講演。


小渕優子講演2 演題 「少子化問題男女共同参画社会」・・・講師 衆議院議員 小渕優子 氏(群馬第5区選出)  
女性の視点より、これからの少子化・人口減少社会の在り方、男女共同参画社会の今後について講演。

1. 少子化・人口減少時代を迎えて・・・
出生率が下げ止まらない
・ 人口減少があまりにも早すぎて、日本のシステムがついて行けない。年金・医療・介護だけでなく、教育、地域の在り方などのシステム。それ以上にどう税体系を組んでいくのか、また、財源は大丈夫なのか。労働力はどうなるのか。
2. その労働力の減少について以下の仮説とその問題点を説明。
少子化対策を初めとする家族政策を十分にやっていく。フランスの施策は、効果が上がっている。これまで少子化と言いながら、国がお金をつぎ込んできたことでは効果が見られなかった。国家財政からは、これ以上のことは厳しい面もある。少子化対策として施策を講じても、人口減少のスピードが速すぎて、V字回復は難しい。
・ 定年延長と年金支給額の減額 元気な高齢者は社会に入ってもらい、再度働いてもらいたい。 大変な社会保障費を激減させることは、老後という時間を与えない、預けたものを払わないということなので、現実不可能に近い。 忙しいつもり
・ 移民による労働力の確保 人口減少に伴い、カナダ、ドイツ、フランスが実際にやっている。但し、日本は、外から入ってくる人や文化を受け入れにくい風土。
・ 女性の労働力に期待 結論から言えば、一番現実的なこと。女性にも社会を担ってもらいたい。女性の生き方の多様化を薦めたい。→男女共同参画社会の推進が何より必要である。

まず、予算ありきではなく、国の未来を考えての予算編成にするべき。 猪口大臣も言うように、我が国の子どもにかかる予算は非常に割合が低い。そのため、議員としても、アピールしていく。同じ青年として、これからの子どもたちのために、国のために一緒に考えていきたい。

講演3 演題 「対 談」〜国の宝を皆で守ろう・育てよう!〜

000日吉青年部部長より、講師の衆議院議員 西村康稔氏、山際大志郎氏両名に、自己紹介を含め、平成17年の6月に出された「子育て世代からの少子化対策緊急提言」(*セミナー資料参照)の説明、現在の問題点、これからの展望・・・大人がどう関わっていけるのかと投げかけて、対談がスタート。※ 登壇予定の中山泰秀氏は、委員会のため欠席・・・講演の終わりに駆けつけられた。

西村議員
兵庫県の明石・淡路島を選挙区に、当選第一期目に自民党衆議院一回生議員有志、少子化対策研究会として、7人で「子育て世代からの少子化対策緊急提言」を提言・・・これが、党へ波及し、その殆どの部分が自民案に、7割が予算化された。自身も3人の子どもを、保育園に預けられた。発熱でお迎えの電話がかかるが両親どちらも迎えに行けず、祖父母に頼むことが多く、辛かったとのこと。 提言では、0〜3歳の一番子育てが大変な時期に焦点化!し、家族を持つ喜び、子どもを育てる良さをアピール

山際議員
川崎市ベットタウンの町〜未だに子どもが増えている〜幼稚園・保育園・小学校が足りない。なぜ、少子化になっているのかを分析し、「今すぐ出来ること」、「時間がかかるが腰を据えてやるべきもの」と分けて提言づくりを行った。自身は、獣医で、「命があまりにも蔑ろにされている・・・少子化もその一つの現れ・・・生き物の種の保存が出来ていない。」と公募によって政治家を志され現在に至っている。 提言では、一番大切なものを一番に挙げている。国民の意識を根本的に変えることが少子化対策、親から受けた命を次の子どもへのバトンタッチである。提言書づくりの裏話として、2007年問題とまで言われている団塊世代の子どもをリサーチすると、結婚していない、パラサイトシングルの多さが浮かび上がり、団塊の世代の親たちにも責任があるのではと考えた。(一例であり、異論はあるかもしれないが、自分たちの莫大な量のリサーチの結果からの考えである。)

★  日吉部長より、「2人の熱い思いが伝わってきた。既に実現しているものもあるし、提言に近い形で実現しているものがある。財源無くして政策無しということから、財源の確保が必要であろう。国にとって、子育てはどれくらいのプライオリティー(優先順位)なのか。本当に子どもを国の宝と思っているのか。親業が出来ない親もいるようになったが、地域の子育て力により育った子どももいる。」と話題をシフト。
◇国の子育てに関するプライオリティについて

西村議員
衆議院選挙などから、人口減少が年金等にどれだけの影響が大きいのか実感してきた。5,000億円を目安に提言したが、効果を出すためにはどかっと、兆単位の規模が必要かも。また、このまま人口減少が進めば、消費税も避けて通れないのでは。年金をもらうおじいちゃんおばあちゃん方にも、「お孫さんがもう1人増えるような支援策」をと呼びかけていきたい。

山際議員
老人に使っているお金と子育てに使っているお金について、次期総裁選のテーマの一つとなり得るのでは。
◇地域の子育て力について

西村議員
手厚い子育て支援を展開する江戸川区(引っ越ししてまで住もうとしている)、 初めは知らないもの同士でも、顔見知りになって住民同士、行政の連携により、よい方向での子育て支援が循環するようになった。これからは、金も権限も市町村に移っていくので、子育て支援に地域差がはっきりしてくることも考えられる。

山際議員
小泉政権は小さな政府を目指している。・・・地方でやることの分量が増加。〜地域差が出てくる。〜国は、地域でよくやっていることを地方に知らせる役に。 移住してきた人ばかりでも、創意工夫で新しい地域が生まれる。

★ 両人の言葉を受けて、日吉部長は、「子育て支援に温度差が大きくなる危惧を感じているので、国の責任をしっかり残してほしい。」とコメント。

西村議員
幼児教育小委員会事務局長として、義務教育の延長は、議論に上っていないが、・・・就学前教育の大切さを考えている人は確かにいる。しかし、無償化は厳しい。義務化より、負担軽減(保育所・幼稚園どちらも)がこれからの議論の流れになるのではないか・・・7,000〜8,000億円(たばこ1本5円UPで可能か) 幼保一元化・・・出来ればいいが、まずは、総合施設の4パターンについて試行錯誤が必要。これから増える年寄りの予算は国で、子どもに関係するものは少子化で負担が軽くなりそうなので地方でというのは、乱暴な理論である。

★ 日吉部長・・・世界に誇る児童憲章を再認識、共通認識化を。青年部の育児指針構想について言及。これに対し、

西村議員
保育所の存在意義として東大の汐見先生の話を引き合いに出し、「保育所は、幼児教育をしてもらっている。その保育所は、いろいろなことにチャレンジしてほしい!時代は変わってきている。例:一時保育、放課後児童対策、保育ママ。経営の観点も分かっている。自分たちで勝手につくって提言したものが、自民党の案になったくらい時代が変わってきている。」と青年部を激励。

山際議員
「理念は分かっている。参加の皆さんも分かっている。・・・アクションを起こすことが青年部の努め。」と締めくくる。

★  最後に、委員会出席の中山議員が駆けつけて、自身のお子さん(多忙を極める議員活動でなかなか自身のお子さんにも会えないらしい)を、お風呂に入れる喜びを話され、また、日本の将来像・・・道州制(課税自主性などが)への可能性とともに、アイディアによって汎用性が広がるようなアクションを、コメントされた。

★ 日吉部長の、「自分で考え、動きなさい。そうでないと子どもを支持命令型にしてしまう。自分たち青年部も、自分たちで動こう。参加してくれた三人の議員は、子どものことがプライオリティの1位だろう。」と締めくくられた。

講演4 演題 「少子化問題について」
    講師 衆議院議員 田村憲久 氏(三重県松坂市選出)
     ・・・自由民主党厚生労働部会子育て支援対策小委員会 委員長
 
◇ 来年度の予算について

・・・子どもの問題は大切だと言われながら、なかなか予算が伸びない。社会福祉関係の予算の中で、高齢者60兆円(70%)、子どもへは3兆円強(4%弱)しかない。その中で、

奨学金103万人→109万人への拡大を果たす。
・ 児童手当 小3→小6まで拡大・・・但し、ヨーロッパと比べて1/3。
不妊治療への補助金の拡大を果たす。

◇ 今回の提言書作成にあたり、

若手議員による、子どもを増やすための調査を実施。・・・調査企業との連携、ネットによるアンケート等を行う。その中で、

・ これから子どもを産む世代(中・高校生)への調査・・・驚きの性感染症罹患率(高校生)が判明・・・学習と経験の少なさからか、予防が出来ていない。→将来の不妊症への危惧〜出産、子育てに関する学習の充実が必要
・ 一方で不妊治療で苦しんでいる方(約28万人)がいる。他方で中絶(20歳未満)が6倍に。〜不妊治療への補助金の拡大要求へ・・・現行1回10万円で2回まで補助(市町村で上乗せ有り)→1回10万円で5回まで補助が実現。
アメリカの白人でも、出生率1.8以上・・・ベビーシッター業の普及
・ 人類の歴史を振り返って・・・人口爆発の要因・・・出産した女性が、ずっと生きるように。おばあちゃんの出現〜子育て支援をしてくれる人の出現により、すぐに次の子どもを産もうという気に・・・
※ 日本のお婆ちゃんは、お婆ちゃんにあらず・・・都市部は核家族化により、子育ての支援者がいない。解決のための二つの方法
1. ① 大家族化(マスオさん政策促進)
2. ② お婆ちゃんの替わりのサービスの整備(ハード面、ソフト面)・・・保育所への期待

◇ 総合施設について

・ たすきがけの補助金厚労省文科省)をもらう施設と、補助金をもらわないでやる(直接契約による利用料徴収)施設へ 
*この後の尾粼課長の講演で詳細に →唯一必要なのは、統合していかないとやっていけない公立の幼稚園・保育所なのではないか。・・・過疎地での総合施設化
・ 問題点・・・個人契約
利用料金が施設によって自由に決められる(自治体が決める権限が、施設に移る)。→価格競争が起こらないように、利用料をたくさん徴収すれば運営費を削減する。逆に、利用料を安くしても運営費が上がることはない。・・・多分、運営費とほぼ同額の利用料に落ち着くだろう。是正勧告の権限で、利用者を選別することは出来ないようにもした。
※ おかしい点は、どんどん情報を挙げてほしい。我々で直していきたい。現在の保育園・幼稚園が維持できないような総合施設は×である。

◇ 三位一体改革について

・・・波がいつ来るのか分からない、波が来たら押し返したい。

厚労省の削減割り当てが厳しい。また、自治体は、自分たち(市町村)の負担が少なくなるようなものを欲しがっている。例:生活保護自治体の負担が増えるので欲しくない。子どものことは、少子化で減るので、高齢者に回すことが出来る。
・ 昨年末の一般財源化問題での「事務費を回せ」騒動・・・情報を察知した日保協が、代議士へ説明にが功を奏した。
・ ◎ 議員だけでは政治は動かない、党が気付くような動き(団体による活動)を、今後もとって欲しい。

行きたかったセミナーの概要。
若手議員さんがたくさんいらっしゃって、パワーにあふれていたと思われます。

行きたかった。残念。


小渕優子さん
群馬5区 http://www.obuchiyuko.com/

西村康稔さん 
兵庫県第9区 http://www.yasutoshi.jp/

山際大志郎さん
神奈川18区 http://www.yamagiwa-daishiro.jp/

中山泰秀さん
大阪府第4区 http://www.iloveosaka.jp/

田村憲久さん
三重県第4区 http://www.tamura-norihisa.jp/